新しい相続の話、令和元年大晦日に

 令和元年の最後に、新しい相続について私が思うことをお話しさせていただきます。。

 一般の不動産会社は普通、売却するだけの専門家で、相続に関わる不動産において地主様の資産の承継が地主様の目線で上手に扱えていないケースが多いように見受けられます。
 この観点から言えば、地主様の9割超は不動産の生前対策ができていないのではないかと思います。
 例えば、土地はあるけど現金がないので相続税を払えず、土地を売って相続税を払って財産を先細めて行くことが多々あります。

 また資産の承継に失敗して、結局、不動産を手放すなど、先祖代々の不動産が守れないことも多くあります。
 今年令和元年は、約200年ぶりに皇位の生前退位が行われ、天皇陛下が存命中に譲位されました。
 これは人生100年時代と言われる世界的にも極めて稀な日本のこれからを占ううえで象徴的な出来事だと私は感じました。
 奇しくも、この生前退位と同じ年に民法が大幅に改正され、相続を取り巻く状況が、物理的にも法制面からも大きく変わる年となりました。

”The emperor is known to take his public duties seriously, so it wouldn’t be surprising if he wanted to pass his crown to the next generation to ensure that they could be carried out fully.”
「天皇は公務を努めて真摯に全うされていることで知られています。それゆえ、天皇が退位して次世代に引き継ぎ、そして次世代によって公務が全うされることを望んだとしても何ら不思議ではありません」
―― Japan’s Emperor Akihito Plans to Step Down, Media Say-The Wall Street Journal, July 13, 2016

 ウォールストリートジャーナルはこのようにコメントしています。

 皇室の譲位は、ご承知のとおり滞りなく「即位の礼 正殿の儀」が10月22日に皇居で行われました。


 平成28年の生前退位ご意向表明から3年の歳月をかけて、ようやく成し遂げられた譲位。天皇家と我々一般人とはスケールが違うなどと、他人事のように考えていてはなりません。
 生前に承継をまとめることは、被相続人たる家長の役目です。家長がその役割を努めて真摯に全うしなければ、せっかくあなたやあなたの祖先が汗を流し、歯を食いしばって築き上げてきたものを次世代へつなぐことはできません。この国の法制度は、それを許してはくれないのです。

 この200年ぶりの皇位の生前継承は、令和時代のスタートであるとともに、新しい相続を考える元年であると私たち日本人は意識改革をしていかなければならないのだと思います。

令和元年12月31日
青田尚大